南西諸島の色々な島の島バナナを食べた話1「沖永良部島のバナナ」
南西諸島というのは、ご存知の通り、鹿児島県から沖縄県にまたがる島々の総称であり、この地域は亜熱帯性気候であるため、亜熱帯性の作物が栽培されている。
バナナ(Musa sp. )もその中の一つであり、南西諸島で栽培されている中で最もポピュラーな果物の一つである。
自身は調査で南西諸島の色々な島々を巡っているのだが、可能な限り、その島でバナナを見つけたら買うようにしている。
今回はシーリーズものとして色々な島のバナナを紹介しようと思う。
第一弾は沖永良部島。昨年、沖永良部島にて調査を行った際に、島の商店でふと見かけた島バナナ
0.8kg程で、100円という超破格な値段だった。因みに、yahooや楽天とかでは、1kgで2000円とかするようだ。
そして、そのあとの調査終わりに島の飲み屋で、ふと沖永良部島のフルーツの話題でおかみさんや常連客の方々と話していた時に、バナナの話をしたところ、地元の方々から「沖永良部島のバナナは辛味と渋みと酸味が混じっている」
という事を聞いた。酸味はクエン酸、苦みはタンニンで説明がつきそうだが、辛味???想像がつかない。
ぴりぴりする味との事。。
買った当初はまだ青色の沖永良部島のバナナ。1週間程、その味に胸を躍らせながら、追熟した。
香りはいたって、普通のバナナ。
むいてみても普通のバナナ。ただし、島バナナなので、皮が薄い。
この皮の薄さが、島バナナを更に高価なものにする。皮が薄いので、傷つきやすいのだ。
気になる味は、酸味が通常のバナナと比較すると、少し強め。そして、芳醇で濃厚な香り。これぞ島バナナ!という感じだ。沖縄本島や八重山の島バナナと比較すると酸味が強いように感じる。
そして、謎のピリピリ感。確かに、舌がピリピリする。ワサビ(イソチアシネート)やトウガラシ(カプサイシン)の辛みではなく、胡椒に近いピリピリ感。本当に、辛味があった。
この辛味について気になったので、google scholarでバナナの成分に関する論文を色々あさってみたのだが、めぼしい情報は得られなかった。
もしかしたら、ある沖永良部島の土壌とバナナ内の成分が関係しているのか?と推測しているが、いまだにこの辛味については不明である。。
不思議な沖永良部島産のバナナであった。
多良間島まで琉球エアコミューター航空で飛んだ話
宮古島で調査を終えた後は、宮古島の付属離島である多良間島へ。
宮古島からは琉球エアコミューターで多良間島へ。琉球エアコミューターはJALの子会社であるJTA(日本トランスオーシャン航空)の子会社。
要はJALの孫会社。JALグループではあるが、ワンワールドには加盟していない。
宮古島から多良間島までの距離は67km。それでも航空便があるのは不思議。
徒歩で飛行機に乗り込む。近年Q400用のボーディングブリッジ(待合室から飛行機までバスに乗ったり歩いたりせずにそのまま乗れるあの通路みたいな橋)が開発されて運用され始めているので、近く、このように歩いていく事も過去の事になるかも・・??
今回搭乗した飛行機はボンバルディアQ400CC型といって、通常の400型よりも貨物室がなんと2.5倍になっている仕様。その分座席数が減っており、正に離島路線にもってこいな仕様となっている。
RAC891便 宮古島空港 09:30 ⇒ 多良間空港 09:55
今回はたまたま()プロペラの隣の席を確保できた。
プロペラ機独特のふわーとした上昇。するとすぐにエメラルドグリーンの海が見えてくる。
安全のしおり。折れ曲がっていないし、汚れていない!
水平飛行に入る間もなく、離陸の準備。ちなみに、乗客のほとんどは地元住民のようだった。
多良間島の森。この中に目当てのものがいる。
多良間空港に着陸。凄く絵になる光景。
多良間空港でもあるいて移動。ターミナルへ。炎天下、なかなかきつい。。。
多良間空港の手荷物受取システムがものすごく面白い。通常の空港では、ターンテーブル(空港に到着したところにあるぐるぐる回るベルトみたいなやつ)が主流だが、こちらでは、トラックに受託した荷物が載せられて、そのトラックから荷物を取り出す方式になっている。斬新だし合理的で素晴らしいシステムだと思う。
素晴らしい天気の多良間空港
お疲れさまでした。
トコトコ切符を使って箱根山に上ってきた話2
前回
出発すると直ぐに濃霧の中へ突入しました。
数メートル先も見えない。。案内放送では「富士山がみることができます」などの放送が流れているが、見えません。
imagine
さて、10分もたたないうちに大涌谷駅に到着。相変わらず天候は「濃霧」。。。
到着するとすぐに火山ガスの硫黄の香りが鼻を衝きます。
濃霧で何も見えやしないので、箱根ジオミュージアムに行くことにしました。
箱根は一般の方には温泉ぐらいのイメージしかないだろうが、実は過去に何度か破局噴火(近代国家が破滅しうる規模の大噴火)を起こしているんです。
その歴史の中で23万年前から始まり、Tm-2というテフラ層(火山から噴出されたもの[火山灰など]が堆積した層)やTlu-25・Tm-45などに代表される大規模な噴火を起こしました。
そして、その活動の中で、山頂部分が”吹き飛び”カルデラを形成したとされています。(どの噴火かは不明)
さらにはTAu-4を形成する噴火の前(約13万年前)には大量の溶岩が流出し、真鶴半島を形成しました。
また、8万年前から始まりった大噴火のうち、6万年前の噴火はTPlf1と呼ばれるテフラを形成した噴火は最も大きく、東京にも20cm程の「東京軽石層」と呼ばれる層を作りました。また、その際に発生した火砕流は三浦半島まで達し、三浦軽石層(MP)を形成しているんです。
長井・高橋(2008)箱根火山の地質と形成史 神奈川県博調査研報 P25-42
と、このように日本の中でも五本の指に入る火山なんです。(他は鬼界・穂高・阿蘇ぐらい?)同じような規模の噴火が起こったら北関東を除く関東全域は間違いなく滅亡でしょうね。
前置きが長くなってしまいましたが、、この箱根ジオミュージアムでは、箱根山の噴火の歴史を見ることができます。前回の2015年の噴火についての特集もされていて、実際に火口を撮影した貴重な写真もありました。
温泉の井戸の近くから噴火したみたいですね。噴火と言っても、先ほど説明したものとは全く違う「水蒸気噴火」ですが。
今回の2015年の噴火は、降灰量もそこまで多くなく(推定値40-130トン)、地殻変動も局所的であることから、大した噴火ではないと思われる。しかしながら、水蒸気噴火でも火砕流は発生するので、、水蒸気噴火だからといって被害が小さいわけでもないので注意。
今回の噴火の原因の一つとして、地下の熱水活動の活発化があげられている。これを、地下へのマグマの供給量が増えたためだととらえている人もいるようですね。
このように時系列が細かく記されていてわかりやすい。
神奈川県温泉地学研究所(2015) 2015 年箱根山噴火の推移について
東海大理学部(2015) 箱根山の火山ガスおよび 2015 年6月 30 日噴火に伴う火山灰
火山噴火予知連絡会箱根山降灰合同調査班(2015) 箱根火山 2015 年 6 月 29-30 日噴火による降灰分布(速報値)
ミュージアムの上は箱根名物の「黒たまご」を食べる事ができます!!
卵の殻に鉄分(Ⅲ価鉄)が付着し、それが硫化水素と反応し鉄が還元して硫化鉄(Ⅱ価鉄)になることで黒色になります。
黒たまごを食べて外にでると霧が晴れていました!
これが、大涌谷の噴煙地帯、そして2015年に噴火した火口地帯です。時折、物凄い濃い二酸化硫黄の香りがしてきます。喘息持ちの方は要注意です。
噴火後、火山ガス量が増えたのが原因で、周辺の木々が枯れてしまっています。先述のガスの影響で、自然遊歩道は閉鎖されてしまってますので、立ち入りはできません。
見るものは見たので、強羅へ戻ります!
ロープウェイに乗り強羅方面に戻る途中で、火口を上から見ることができました。
あとは、同じ道をひたすら戻っていくだけなんですが、途中で宮ノ下温泉に立ち寄りました。
宮ノ下温泉の太閤湯、地元の自治会が経営しているお風呂で、番台のおばちゃんが気さくな温泉でした。
宮ノ下温泉は箱根温泉郷の中でも特に熱い源泉を(79℃)持っています。
室住(1960)伊豆箱根温泉の地球化学的研究(1~2報) (第1報) 化学成分の地体構造による分化
79℃の源泉かけ流しのこの太閤湯、なんといっても熱い!!!おかげさまで身体もぽかぽかです。
帰りの登山列車は窓が大きい3100系。そのため、アジサイを見ることができました。
3100系の先頭部分。窓が広いので見晴らしが良い!
箱根湯本駅に到着。お疲れさまでした。
中信地域に行ってきた話3「下諏訪温泉」
学会の表彰式と受賞記念講演をスキップして、伊那北駅から飯田線に揺られ、中央線に乗り換え、やってきたのは下諏訪駅。
下諏訪温泉は下諏訪という町の規模を考えると温泉がかなり多いですね。なんと10の共同浴場と5つの温泉ホテルがあります。
今回は共同浴場の一つである「新湯」さんに行ってきました。
230円というかけ流しの温泉にしては安すぎる料金を払い温泉につかります。あちちち、、、、45度近くあるお湯が身体全体を芯からポカポカと温めてくれます。
温泉上がりはやはりこれ!コーヒー牛乳!今回は八ヶ岳牛乳。
下諏訪温泉のメインストリート?的な所に出ました。
滾々と湧く温泉。
下諏訪温泉は、霧ヶ峰高原でおなじみの「霧ヶ峰火山」により温められた熱水が、糸魚川-静岡構造線(フォッサマグナ)の裂け目から湧き出る事により形成された温泉です。
村松ら(2014)糸魚川─静岡構造線活断層帯中部(牛伏寺断層付近)における温泉の水質および安定同位体比とその地質鉱物学的解釈
今回泊まる旅館は「鉄鉱泉旅館」という明治37年から続くこの旅館です。もちろん源泉かけ流しの温泉に入ることができます。
お部屋もなかなか渋くて良いですね!
お部屋に荷物を置いて、ふらふら夜ご飯を食べに近所の「とんかつ 丸一」にやってきました。肉厚のとんかつが有名なお店です。
ジューシーで、たまらりません。またかかっているソースがとんかつに合うんですよ、これが。書いててお腹が減ってきました・・
とんかつで満たされたが、少し、アルコールが欲しくなってしまったので、伊那市のスーパーでこっそり買っておいたこのとっておきのビールを飲みます。
南信州ビールのゴールデンエール!!葡萄系の香りと柑橘系の香りが幸せを与えてくれる。。。学会で緊張しきった身体が温泉とビールでちょうどいい具合にほぐれて、リラックスすることができました。
さて、次の日からは下諏訪市内を電動自転車で巡ります。
続く!
目黒にある”森”に行ってきた話
この前、紀要論文の投稿や、学会の要旨を書くことにひたすら追われていた僕に、更に駒場キャンパスへでの会議が襲ってきた。
流石に忙しさで心が疲弊してしまった僕は、短時間で森林浴ができる場所がないものかと思慮を巡らせてみたところ、その昔、国立科学博物館で研究をしていた知り合いの先生が「目黒に森があるんですよぉ」と言っていたのを思い出して、知り合いと訪れることにした。
その名が、「国立科学博物館付属 目黒自然教育園」(帰り際に取ったのでクローズしてるが、、)
入園には310円かかるが、都内の提携を結んだ大学「大学パートナーシップ入会大学」の学生はなんと無料!僕も「最果ての地・柏の民」ではあるが無料で入ることができた。
初めて入ったのだが、想像以上の「森」。
開発により失われてしまった「本来の東京の自然環境」が色濃く残されている。
一つ、面白いなと感じたのが、アオキ(Aucuba japonica)という樹木がちらほら見ることができるところ。しかも食害がみられない。
参考文献:東金市鳥獣被害防止計画
http://www.city.togane.chiba.jp/cmsfiles/contents/0000003/3631/tyoujyuhigaibousikeikaku.pdf
こちらにもあるように、シカやキョンの食害を大きく受ける「アオキ」。千葉県などでは壊滅状態になっている場所も少なくはない。しかし、このように四方を都会に囲まれている場所では、シカが侵入することが不可能なので、アオキが生き残ることができているのでは?と感じた。
うっそうとした森を進んでいく。時折見える高層ビルや高速道路が、何とも言えない近未来感があり、なかなか面白い。
ここが本当に、23区内なのか・・・?となる。しかも山手線内。
これもまた、面白い。街路樹としておなじみのシュロ(Trachycarpus fortunei)が街路樹としての増加、更に、温暖化(?)の影響を受けて野生のシュロが増加しているという。
なんと、この野生のシュロ(ノラジュロ)の増加について、この自然教育園が論文を書いていた。
なんと、亜熱帯性の植物であるシュロ、自然教育園の個体の8割が成熟した大人の個体であるという事。
とても、「東京の自然を残している」とは言えない森林。このように都会から避難地的に森林を残しても、その森林が都市部から影響をもろに受けているのが現状のよう。
このように、いろいろな形の「自然」が残っている目黒の国立科学博物館付属自然教育園。なかなかよかったので、是非とも他の季節に行ってみたい。