トコトコ切符を使って箱根山に上ってきた話2
前回
出発すると直ぐに濃霧の中へ突入しました。
数メートル先も見えない。。案内放送では「富士山がみることができます」などの放送が流れているが、見えません。
imagine
さて、10分もたたないうちに大涌谷駅に到着。相変わらず天候は「濃霧」。。。
到着するとすぐに火山ガスの硫黄の香りが鼻を衝きます。
濃霧で何も見えやしないので、箱根ジオミュージアムに行くことにしました。
箱根は一般の方には温泉ぐらいのイメージしかないだろうが、実は過去に何度か破局噴火(近代国家が破滅しうる規模の大噴火)を起こしているんです。
その歴史の中で23万年前から始まり、Tm-2というテフラ層(火山から噴出されたもの[火山灰など]が堆積した層)やTlu-25・Tm-45などに代表される大規模な噴火を起こしました。
そして、その活動の中で、山頂部分が”吹き飛び”カルデラを形成したとされています。(どの噴火かは不明)
さらにはTAu-4を形成する噴火の前(約13万年前)には大量の溶岩が流出し、真鶴半島を形成しました。
また、8万年前から始まりった大噴火のうち、6万年前の噴火はTPlf1と呼ばれるテフラを形成した噴火は最も大きく、東京にも20cm程の「東京軽石層」と呼ばれる層を作りました。また、その際に発生した火砕流は三浦半島まで達し、三浦軽石層(MP)を形成しているんです。
長井・高橋(2008)箱根火山の地質と形成史 神奈川県博調査研報 P25-42
と、このように日本の中でも五本の指に入る火山なんです。(他は鬼界・穂高・阿蘇ぐらい?)同じような規模の噴火が起こったら北関東を除く関東全域は間違いなく滅亡でしょうね。
前置きが長くなってしまいましたが、、この箱根ジオミュージアムでは、箱根山の噴火の歴史を見ることができます。前回の2015年の噴火についての特集もされていて、実際に火口を撮影した貴重な写真もありました。
温泉の井戸の近くから噴火したみたいですね。噴火と言っても、先ほど説明したものとは全く違う「水蒸気噴火」ですが。
今回の2015年の噴火は、降灰量もそこまで多くなく(推定値40-130トン)、地殻変動も局所的であることから、大した噴火ではないと思われる。しかしながら、水蒸気噴火でも火砕流は発生するので、、水蒸気噴火だからといって被害が小さいわけでもないので注意。
今回の噴火の原因の一つとして、地下の熱水活動の活発化があげられている。これを、地下へのマグマの供給量が増えたためだととらえている人もいるようですね。
このように時系列が細かく記されていてわかりやすい。
神奈川県温泉地学研究所(2015) 2015 年箱根山噴火の推移について
東海大理学部(2015) 箱根山の火山ガスおよび 2015 年6月 30 日噴火に伴う火山灰
火山噴火予知連絡会箱根山降灰合同調査班(2015) 箱根火山 2015 年 6 月 29-30 日噴火による降灰分布(速報値)
ミュージアムの上は箱根名物の「黒たまご」を食べる事ができます!!
卵の殻に鉄分(Ⅲ価鉄)が付着し、それが硫化水素と反応し鉄が還元して硫化鉄(Ⅱ価鉄)になることで黒色になります。
黒たまごを食べて外にでると霧が晴れていました!
これが、大涌谷の噴煙地帯、そして2015年に噴火した火口地帯です。時折、物凄い濃い二酸化硫黄の香りがしてきます。喘息持ちの方は要注意です。
噴火後、火山ガス量が増えたのが原因で、周辺の木々が枯れてしまっています。先述のガスの影響で、自然遊歩道は閉鎖されてしまってますので、立ち入りはできません。
見るものは見たので、強羅へ戻ります!
ロープウェイに乗り強羅方面に戻る途中で、火口を上から見ることができました。
あとは、同じ道をひたすら戻っていくだけなんですが、途中で宮ノ下温泉に立ち寄りました。
宮ノ下温泉の太閤湯、地元の自治会が経営しているお風呂で、番台のおばちゃんが気さくな温泉でした。
宮ノ下温泉は箱根温泉郷の中でも特に熱い源泉を(79℃)持っています。
室住(1960)伊豆箱根温泉の地球化学的研究(1~2報) (第1報) 化学成分の地体構造による分化
79℃の源泉かけ流しのこの太閤湯、なんといっても熱い!!!おかげさまで身体もぽかぽかです。
帰りの登山列車は窓が大きい3100系。そのため、アジサイを見ることができました。
3100系の先頭部分。窓が広いので見晴らしが良い!
箱根湯本駅に到着。お疲れさまでした。