目黒にある”森”に行ってきた話
この前、紀要論文の投稿や、学会の要旨を書くことにひたすら追われていた僕に、更に駒場キャンパスへでの会議が襲ってきた。
流石に忙しさで心が疲弊してしまった僕は、短時間で森林浴ができる場所がないものかと思慮を巡らせてみたところ、その昔、国立科学博物館で研究をしていた知り合いの先生が「目黒に森があるんですよぉ」と言っていたのを思い出して、知り合いと訪れることにした。
その名が、「国立科学博物館付属 目黒自然教育園」(帰り際に取ったのでクローズしてるが、、)
入園には310円かかるが、都内の提携を結んだ大学「大学パートナーシップ入会大学」の学生はなんと無料!僕も「最果ての地・柏の民」ではあるが無料で入ることができた。
初めて入ったのだが、想像以上の「森」。
開発により失われてしまった「本来の東京の自然環境」が色濃く残されている。
一つ、面白いなと感じたのが、アオキ(Aucuba japonica)という樹木がちらほら見ることができるところ。しかも食害がみられない。
参考文献:東金市鳥獣被害防止計画
http://www.city.togane.chiba.jp/cmsfiles/contents/0000003/3631/tyoujyuhigaibousikeikaku.pdf
こちらにもあるように、シカやキョンの食害を大きく受ける「アオキ」。千葉県などでは壊滅状態になっている場所も少なくはない。しかし、このように四方を都会に囲まれている場所では、シカが侵入することが不可能なので、アオキが生き残ることができているのでは?と感じた。
うっそうとした森を進んでいく。時折見える高層ビルや高速道路が、何とも言えない近未来感があり、なかなか面白い。
ここが本当に、23区内なのか・・・?となる。しかも山手線内。
これもまた、面白い。街路樹としておなじみのシュロ(Trachycarpus fortunei)が街路樹としての増加、更に、温暖化(?)の影響を受けて野生のシュロが増加しているという。
なんと、この野生のシュロ(ノラジュロ)の増加について、この自然教育園が論文を書いていた。
なんと、亜熱帯性の植物であるシュロ、自然教育園の個体の8割が成熟した大人の個体であるという事。
とても、「東京の自然を残している」とは言えない森林。このように都会から避難地的に森林を残しても、その森林が都市部から影響をもろに受けているのが現状のよう。
このように、いろいろな形の「自然」が残っている目黒の国立科学博物館付属自然教育園。なかなかよかったので、是非とも他の季節に行ってみたい。