Guten Morgen India.

いいんじゃない。いいんじゃないの。

伊是名島で調査の下見をしてきた話

調査をするというのは意外と現地に行ってみないと状況がわからない事がある。

調査の許可や地元の役場などで問い合わせてその樹木の存在を確認したのにも関わらず、現地に行ってみると一本も生えていないなんて事はザラにある。

その為にはやはり、調査をする前に実際に現地に赴いてその対象とするものがあるかどうかを確かめた方が良い。

てなわけで、1月の頭、沖縄の北部にある伊是名島に調査の下見に行ってきた。

今回は自腹切っての調査の下見なので、LCCを使った。成田⇒那覇は割愛

那覇からやんばる急行バスに揺られて2時間超。今回の旅はこの国頭郡今帰仁村にある運天港から始まる。

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この運天港から伊是名島へのフェリーが出る。

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今回のるフェリー伊是名尚円。2015年に竣工されたばかりの比較的新しい船。

伊是名島までは55分であったが、この日は沖縄ではみぞれやあられが降るような異常事態。その為、海が相当しけっていたようで、1時間10分も要した

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航海はかなり揺れて、船酔いするぐらいであった。

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伊是名港に到着、、、、この1時間10分は相当長く感じた。

早速、到着して宿に荷物を放り込み、お目当ての植物を探しに行く。

伊是名港のすぐ近くにある伊是名レンタカーで自転車を借り(24時間820円)、島の中を自転車で走る。

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さっきまでの曇天だったのだが、少しづつ青い空が見えてきて気温も高くなってきた。

この日の伊是名島は最高気温16度と、那覇より3度近く温かい天気となった。

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走り出して早速見えてきたのがこの樹木。リュウキュウマツ(Pinus luchuensis) 南西諸島の宝島から与那国島まで幅広く分布している他、台湾や中国の福建省にも近縁(同一種の可能性も示唆されている)が分布している。

沖縄県の県木でもある。

更に進んで、海岸にでた。この時、すでに雲はそこそこ消えて青空が広がっている。

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このように観光地化されてない海岸の後ろを見ると

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アダン(Pandanus odoratissimus)の群生が見る事ができる。南西諸島の典型的な海岸の光景。このアダンの果実、熟すと見た目はかなりパイナップルにそっくりだけど、パイナップルとは比較にならない程マズいので、食べる事はお勧めしない・・・

前、トカラ列島の宝島のおばあちゃんが言ってたのは昔は甘いものが無かったからサトウキビの見たいにかじってたそうな。

そして、自転車を降り、海岸沿いにあるいていくと河口の方にはこんな植物が

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マングローブ植物であるメヒルギ(Kandelia obovata)が!

写真の中に胎生種子がついているのが見える

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細長いインゲン豆みたいなやつが胎生種子。その名の通り、すでに発芽した状態である。

伊是名島のような小さな離島でマングローブ植物を見る事ができるとは思わなかった。

割と面積が小さく沖合にある伊是名島のような離島では河川が少なく、それに伴いマングローブの形成に適した河口が少なく、マングローブ植物を見る機会が少ない。

面積が小さい離島でこれらを見る事が出来るのは南大東島ぐらいなのでは?と思う。もっとも、南大東島はレアな陸封型のものではあるが。。。

とにかく、自分的にはこの伊是名島マングローブ植物はかなり貴重なものではないかと思うが、枯死木も多く見られたので、ちょっと心配。

いろいろな文献やサイトを調べたが、伊是名島マングローブに関する文献はこれのみであった。

www.manglobal.or.jp

このサイト曰く、この伊是名島千原用水のものは沖縄県最北端のマングローブ林であり、メヒルギのみで構成されているとある。

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なかなか興味深い場所であった。。。

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また海

さて、この日は海岸を巡って植物探しをしておしまい

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晩御飯は島のスーパーで購入したお惣菜とスパムをつまみにオリオンビール伊是名島泡盛を頂く・・・・なんとも沖縄らしさ満点。。地元民向けの味だからか、ゴーヤチャンプルーがかなり苦かった。ククルビタシンモモルデシンの苦みを直に感じた。

 

次の日、朝飯を済ませて、役所の方で調査の許可等の情報を得たり、森林の情報を聞きに行った。そして、それが終わるとお昼ご飯。

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沖縄そばの定食、、沖縄そばとその上のモズクの酢の物がかなり美味しかった。ブログを書きながらお腹が空いてきてしまった。

 

そして腹ごしらえをした後はまた自転車で植物探し。調査対象とする植物の群落を見つけてはその座標をメモし、Mapに落としていくという作業を行う。

その途中で見つけた植物がこちら

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ケスナヅル(Cassytha filformis var. duripaticola

絶滅危惧種Ⅱ類に指定されている比較的レアな植物。オオマツシバやシバニッケイなどに寄生する寄生植物。一見するとただのヒモだが、れっきとしたクスノキ科(Lauraceae)の一種なのだ。要は、シナモンとして有名なセイロンニッケイCinnamomum verum)の親戚。是非とも、ぶっちとして香りを確かめてみたかったのだが、、絶滅危惧種なのでやらなかった。

他にこの島には絶滅寸前のイトスナヅル(Cassytha pergracilis)という近縁種が生えているのだが、さすが絶滅危惧種ⅠA。結局見つからなかった。

 

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殆ど島の全域を見て、マップにある程度のピンを落とすことができた。調査をするのに十分な数はある事が分かった。

そして、終わってからは当てもなくぶらぶらしていたのだが

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この島、観光地化されてない、沖縄の昔の建物が結構残されていた。

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のんびりと時間が流れていく。。。。そしてぽかぽか。。。幸せ

 

そして、その日もまた総菜を食べて終了。

 

最終日はフェリーに乗って再度運天港まで戻るだけ

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帰りの船は穏やかでなかなか良かった。